2011年1月31日月曜日

ガイアレクイエムもしくはラプソディ (後編)

画像出典: http://choipic.livedoor.biz/archives/2308121.html

(前編のまとめ)

地球を一つの生命体として考える、ガイア理論。
ガイア理論においては、人間もネズミもクジラもお魚も虫けらも植物も全部、
ガイアという生命体を支える体組織、細胞なのだ。

その細胞たちが絶妙なバランスでもって、ガイアを健康な状態に保っていたはずだった。

ニンゲンが、産業革命を皮切りに、化石燃料を使いまくり、急激に増えだした。
ガイアの一部であるはずのニンゲンが、ガイアの他の一部を急激に喰らい出した。

「このままではガイアは死ぬ」 「ニンゲンはガイアの癌細胞だ」

とまで言われるようになった。



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癌、についてもう一度確認しておこう。

ウィキペディアより

『身体を構成している数十兆の細胞は、分裂増殖と、「プログラムされた細胞死」(アポトーシス)を繰り返している。正常な状態では、細胞の成長と分裂は、身体が新しい細胞を必要とするときのみ引き起こされるよう制御されている。すなわち細胞が老化・欠損して死滅する時に新しい細胞が生じて置き換わる。ところが特定の遺伝子(p53など、通常複数の遺伝子)に突然変異が生じると、このプロセスの秩序を乱してしまうようになる。すなわち、身体が必要としていない場合でも細胞分裂を起こして増殖し、逆に死滅すべき細胞が死滅しなくなる。』


つまり癌細胞においては、細胞分裂の寿命・分裂の限度数を決める遺伝子(「テロメア」という)がなくならなくなってしまって、
際限無く増殖しちゃう、ということ。

テロメア、という遺伝子がなくならなくなっちゃうと、周りの組織に害が与えるくらいまで、勝手に増殖してしまう。

これで、しかもその細胞が浸潤したり、転移したりしだすと、いよいよ

「あーこりゃ悪性ですよ、奥さん。悪性腫瘍。まー癌だよ。あら、いやいやここで泣かれても困っちゃうなぁ。残念だけど、ね。」

となる。

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周りの組織が害を受けるくらい、際限なく増殖し続ける。

自分の生活圏では飽き足らず、他の領域を侵し続ける。

これはもう、ニンゲンはガイアの癌だ。

もう、そうとしか考えられん。

ガイアの健康のために、ニンゲンは駆逐されるべきだ!







・・・しかし、待てよ?

テロメアーゼ活性が異常に高いのって、癌細胞だけだっけ?

寿命がほぼ無限なのって、癌細胞だけだっけ?



実は

動物の体の中で。

無限増殖が許され、

エネルギーの大量消費が許された細胞が、

癌細胞以外に、ひとつだけある。









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『不老不死への科学』
より抜粋です。

(このページ、分かりにくいけど、知らないひとにとっては面白い)


まずは、癌についての記述。↓

3.2.2 癌とテロメラーゼ

 癌は活性酸素などによる変異が原因である。その変異は正常細胞の増殖に必要な癌遺伝子に起こり、異常増殖を促進する。また一方で癌抑制遺伝子が変異によって不活性化を起こすと、細胞にアポトーシスが誘導されなくなる。その結果、体細胞が急速に増殖する。これが癌である。こうしてできた小さな癌はテロメアが短縮するまでは成長するが、やがてテロメアが極端に短くなり、テロメアを失った染色体が互いに結合したり、異常な切断を起こしたりする。大部分の初期癌細胞は、このような染色体の異常や複製による遺伝子末端の消失で死滅する。しかし、ここで偶然にテロメラーゼが発現し、無限分裂寿命を獲得した癌細胞だけは成長し臨床的な癌にまで発達する。このように癌とテロメラーゼの発現には深い関係がある。そのため、医療の現場では癌の診断にテロメラーゼ活性の測定が行われることもある。


、、、むむ、目がくらくらするぞ。。。

まあ太字が大事だ。

そして、もっとだいじなのが、次のコピペだ。

ちなみに、以下のコピペは、前述のコピペのひとつ前の項目なのだ。


3.2.1 テロメラーゼによるテロメア延長

ヒトの通常の体細胞は分裂回数に限りがある有限分裂寿命細胞である。しかし生殖細胞は分裂を繰り返してもテロメアDNAが短縮しない。すなわち無限分裂寿命細胞である。これはテロメアDNAを延長するテロメラーゼという酵素が発現しているためである。生殖細胞にテロメラーゼが発現しているおかげで、子孫には一定の長いテロメアを伝えることが出来る。このテロメラーゼは受精卵から発生初期の組織でも発現しているが、ある時期から体細胞のテロメラーゼの発現は抑えられ、有限分裂寿命になる。成人ではテロメラーゼの発現はほとんどの体細胞で見られないが、骨髄や上皮細胞など再生系組織の幹細胞には弱い活性があり、テロメア短縮を遅延させている。



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整理しよう。

体の中で、無限増殖を繰り返し、余計なエネルギー消費を個体に強いる細胞がある。

これが、生殖細胞だ。

しかし、これが個体の予定外で行われる場合がある。

それが、癌細胞だ。


これが、結構、ミソ。

だいぶ大事な点です。

もう一度。


体の中で、無限増殖を繰り返し、余計なエネルギー消費を個体に強いる細胞がある。

これが、生殖細胞だ。

しかし、これが個体の予定外で行われる場合がある。

それが、癌細胞だ。







ここで、当然の疑問が浮かぶのだ。

疑問、つか、二択だ。





「我々はガイアの何なのだろうか?」




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僕が、『ニンゲンはガイアの精子と言えなくもない』、と考えている妄想は、主に三つある。

根拠、というほど論理的ではない。因果も示せていないから、妄想というのが正しい。



第一に、文明発生の必然性。

第二に、文明生物の兌換性。

第三に、ガイアという生命の目的と運命。


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文明発生の必然性。

文明が発生する、というのは、何もニンゲンに限ったことではないし、

ごくごく自然な進化の結果だと思う。

だから、文明は星を苦しめてなんかいない。



もし、地球と同じように、生命が発生した星があったとして、

おそらく、当然地球と同じように、下等な生物から始まるのだろう。

(パンスペルミア説などは、今は無視してください・・・)


で、何十億年あるいは何千億もしたら、やはりその星は文明を持っているのではないか。

生物そのものの、存在意義というような部分ではあるが、

簡単にすると、次のようなフローをたどるのではないかと思っている。


・生命の発生

・増殖

・多様性の必要

・性の発生

・増殖の効率化

・群体形成

・多細胞生物の出現

・群れの形成

・社会の形成

・カーストの形成

・社会余剰の発生

・文明の発展



だから、なんか、感覚的だけど、生き物って結局、文明を持つんじゃないか、って。

ただ増殖だけを目指していたとしても、必然的に、文明を持っていくものなんじゃないか。

となると、なんとなく、
「ニンゲンが文明を発展させてきたのが、そもそも悪だよね」的なことは

そもそも間違ってるんじゃない?当然の結論のようにも見える。

だから、ニンゲンが、ガイアの癌だとは思わない。
ニンゲンの文明が、ただガイアを苦しめるために生まれたとは思わない。

どちらかというと、自然な流れだったのだ。

自然な流れ、が病であるはずがなかろうに。



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これに絡めてではあるが、

文明の兌換性。

ちょっと難しい言葉を使ってみたかっただけだが、
つまり、地球が焼け野原になって、人間がみんな滅びても、
時間が経てば、表情を変えた地球上に、また文明が生まれているとおもうのだ。

『猿の惑星』 や 『クロノトリガー』のアザーラ などをイメージしてくれればいい。

人間が地球温暖化を促進させたり、核戦争で世界をめちゃくちゃにしたりするのは、
結局、隣人(ライオンやヒマワリ)は殺すけど、全滅させるかもしらんけど、

よくよく考えたら、

地球が割れるほどのことでは無いでしょう?

それこそガイアにとっては、

「ちょっとスキンヘッドにしてみた(笑)」

程度のことなのだはないだろうか。

だから僕は、ニンゲンがガイアを脅かす癌だとは思わない。


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ガイアという生命体の目的と運命。

これはすこし、予習が必要だ。


予習↓

生命が地球上に誕生したときは、性別というものは無かった。
無性生殖なのだ。

一個のアメーバが、分裂して、二個のアメーバになっていた。
そこに性は無く、当然遺伝子も同じなので、全てただのコピーだった。
つまりクローン。

クローンだから、ある意味不老不死。自分が永遠に増え続けるのだから。

しかし、遺伝子をミックスさせないと、病気や環境変動に対してその集団が弱くなってしまう。

(もし世界の男が全員キムタクだったら、ちょっとトレンドが変わったら子孫残せない)

そこで、他人と交わる、ということを覚えた。
これが性の発端。

(詳しくは、NHKスペシャル『生命』がとても分かりやすい)

そして、性を獲得するのと同時に、生命が獲得したもう一つの特徴がある。

それが、死、だ。

性交の目的が『自分とはちょっと違う個体を造ること』であるから、
生まれた子孫は自分ではない。

だから、このとき生命は、不老不死という光り輝く機能を、捨てたのだ。

(逆に言うと、性交ということが、不老不死なんかよりも、利益をもたらしたということか・・・、余談。)

予習終わり↑


だから、ガイア論支持者は、ガイアを生命体として考えるなら、決定的なことを忘れている。

ガイアは死ぬんだ。

少なくとも、死にうるのだ。
大きな目でみれば。

そもそも星には寿命がある。超新星爆発 スーパーノヴァです。
ほっといても死ぬんだ。

生命体だって同じだ。
活動しなくても、活動しても、寿命は寿命だ。
どうせ死ぬんだ。

だから、活動するのだろう?

それで寿命が縮もうが、活動するじゃないか。
それでめっちゃ疲れようが、セックスするじゃないか。


ガイアは死ぬんだ。

それも、当然の結果として。


ガイアの活動とは?ガイアの生きている意味とは?

ガイアが「生命体」である限り、
ガイアは増えようとしているはずだ。


そして、思い出してほしい。

ニンゲンは、癌じゃなかったら、何だ?

体の中で、
無限増殖が許され、
高エネルギー活動が許され、
寿命を縮めることさえ許されている 細胞があったではないか。





ニンゲンは、ガイアの精子なのかもしれない。


だからぼくは、ニンゲンがガイアを殺すことが悪だとは思わない。

ただしそれは、ニンゲンがガイアの生殖活動を担っているとするからだ。


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もうほとんど、終わりなのだけれど、終われませんww

もうたぶん、予想もできるだろうけれど、続きます。


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ガイアにとって、「生殖」とは何か?

ガイアはニンゲンに何をさせたいのか?

(完結編につづくのだ)





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